歯周病はなぜ怖い病気なのか
自覚症状がないことが歯周病の最も怖いところです。気づいた時には症状がかなり進行していたというケースも多く見られます。病原菌をゼロにすることは難しいので、セルフケアの方法を含め、どのように自分の口腔内環境と付き合っていくかということが重要になります。
歯周病治療で大切にしていること
歯周病治療にも段階があるため、その患者さまがどの程度の歯周病治療を必要とされているかをしっかりと診査・診断して、その方の症状に最も適した治療法を提案させていただいております。
基本的には細菌に感染して歯石が沈着した層と、病的な歯肉粘膜を綺麗に取り除いていくという方法を取っていますが、それだけでは完全には治りません。歯周病治療にとって何よりも大切なのはセルフケアであり、クリニックで汚れを落としたとしてもご自宅での正しい歯磨きを続けていかなければ、また腫れて元に戻ってしまいます。
歯科医院を離れてからの時間の方が圧倒的に多いので、治療後の状態を写真に撮り、腫れてきた時には写真と比較してセルフケアの方法に問題がないかチェックするようにしています。
歯周病の診査・診断
基本の審査項目としてまずは次のことを必ず確認しています。
- 歯垢の沈着状況
- 歯肉の出血の有無の確認
- 歯周ポケットの存在
- 歯周ポケットの数値
- 歯牙の動揺
- 歯牙を支える骨の骨面形態
さらに、次のことについても確認し、厳密な記録を取ります。
- 唾液の量と分泌
- ハイリスクの疾患(糖尿病など)があるか
- 食生活
- 喫煙の有無
全ての事項について衛生士がチェックを行い、衛生士ノートに記録した後に管理表を作成しています。
歯周病の治療について
症状が軽い方
歯周ポケットが浅めの方には、歯根面に付着した歯石の除去と、セルフコントロールの徹底から入ります。そして歯石除去をした根面に対して、ポリッシングと呼ばれる研磨を行います。
症状が重い方
歯周ポケットが深い方には、麻酔を使用して、深い部分での歯根面の汚れをキュレットを使用して除去し、さらに粘膜面の感染層も取り除きます。それでも治りが悪ければ、検査を重ねた上で、歯周外科の領域に入っていきます。
一旦、歯周病治療が終わった方が心がけるべきこと
歯周病の治療が終了したあとも、徹底した歯磨きを継続していただいています。またご本人の唾液の質によって歯垢の沈着度が変わってきますので、患者さまのご自身の口の中の性質を知ることも大切です。
ご希望の方には唾液検査や、位相差顕微鏡で口の中の菌をご覧いただくことも実施しております(いずれも自由診療になります)。
歯科医院ではどのように口臭治療を行うのか
口臭の原因となるのは、口の中の嫌気性菌です。嫌気性菌の代謝によって血球やタンパク成分などが分解されて、その際の匂いが口臭となるため、それを徹底的に取り除くことが必要になります。
まずは基本的な歯周病治療と、舌に含まれる舌苔(ぜつたい)を綺麗に除去する治療を行います。特に朝起きた時などは唾液の分泌が制限されて口臭に強くなるので、夜のブラッシング管理や、洗口剤などの提案もさせていただいています。特に女性は年齢が高くなってくると唾液分泌が減少して、ドライマウスに悩む方も増えてきます。歯そのものにダメージが出るほど唾液の分泌が減っているようであれば、場合によっては人工唾液に代わるジェルなどをおすすめすることもあります。
口臭を予防するために心がけること
基本的に歯磨きをしっかりとしていただくことが口臭の予防と改善につながります。舌の匂いを気にされる人も多いですが、舌のお手入れについては過度にし過ぎないように気をつけていただいています。
細菌が原因となる一般的な口臭とは異なり、虫歯や口腔がんから来る匂いもありますので、当院ではそれも踏まえて慎重にチェックを行っていますが、そこまでの深刻な疾患がない場合は、日々の歯磨きで口臭の改善をはかることができます。